「ゴルフができるヤツは仕事やビジネスもできるヤツ」なのか問題
なぜか昔から言われている「ゴルフができるヤツは仕事もできる」という、ゴルフをやらない人にとってはもはや都市伝説としか思えないような言い伝えがありますね。
でもゴルフをやったことのない人にとっては、「根拠は?」「ゴルフをやらない人でもお金持ちはいるよ?」など、色々とツッコミどころも多いはず。
そこで、今回は「ゴルフができるヤツは仕事もできる」という言い伝えの根拠について考察していこうと思います。
ゴルフとは何を指しているのか。
まず「ゴルフ」と一言に言っても、それが何を指すのかを考えるところから始めましょう。
ゴルフをプレーすると言っても、色々なゴルフが存在します。
- 賞金を稼ぐことが目的のツアープロがプレーするゴルフ。
- 賞金を稼ぐわけではないが、アマチュア同士が競い合う競技ゴルフ。
- 友達や家族で楽しむエンジョイゴルフ。
- ビジネスでの取引先や上司や部下と親睦を深めるための接待ゴルフ。
大きく分けると4つに分けられますね。
この中だと、4つ目の接待ゴルフのことを言っているように思えますが、実はゴルフをすること自体がビジネスや仕事にもいい影響を与えるのです。
もちろん、一緒にラウンドすることでコミュニケーションをはかり、契約につながったりジョイントベンチャーのアイデアが生まれることだってあるでしょう。しかし「ゴルフができるヤツは仕事もできる」の真意はそれ以外のところにあるのです。
ゴルフができるとはどういうことなのか?
では、「ゴルフができる」とはどういう意味なのでしょうか?
「100切りができること?」「それとも70台で回れなきゃダメ?」「300ヤード飛ばさなきゃダメ?」
いえいえ、おじ様方が求めているところは、そんなことではありません。
ゴルフをプレーする上でのマナーや振る舞い、ゴルフプレーに対する態度や考え方などを見ているのです。
その中で、今回の話題「ゴルフができるヤツは仕事もできる」の意味を知るのに最も忘れてはいけないことは「真剣にゴルフに向き合う」ということです。
「下手くそだから、適当にやろう・・・。」ではなく、自分のできる限りのいいスコアで回ろうという意志を持っていることが「真剣にゴルフに向き合う」ということの大前提です。
つまり、あとで理由については詳しく書いていきますが、「真剣にゴルフに向き合うことができる」が「ゴルフができる」ということに定義しておきます。
ゴルフができるヤツは仕事もできると言われている理由
結論からもう話してしまいましょう。
「ゴルフとは人生の縮図のようなものだから」
誰だって、お金持ちになったり愛する人と一緒に暮らしたりと、幸せになることを願いながら生きているはずです。しかし、生きていく中で様々な困難や障壁にぶつかり、ある人はその障壁を乗り越え、ある人は別の道を探し、またある人は挫折して生きていくことでしょう。
少々大袈裟かも知れませんが、ゴルフは人生に例えるのがとても適しているスポーツなのです。
もちろん、他のスポーツや趣味でも人生に例えることは十分できますが、ゴルフならではの理由が関係しているので人生に例えやすいのです。
なぜ、ゴルフは人生に例えやすい?
一人で行うスポーツだから
ゴルフが人生に例えやすい理由として、まずは基本的に一人で行うスポーツだからです。
その他の球技などのスポーツとは違い、ゴルフは一人で一つのボールを打ち、カップインさせるスポーツです。敵対する選手がスイングの邪魔をしたり、フェアウェイにあるボールをバンカーまで蹴っ飛ばしたりすることはありません。
全て、自己責任でプレーしなくてはいけないのです。
人生も同じではないでしょうか。
江戸時代から続く大資産家の御曹司でもない限り、大人になれば自分の責任で生きていかなければなりません。失礼しました、大資産家の御曹司の方なら、きっともっと大きな責任がのしかかり普通の人よりしっかりしていなければいけないのかと想像します。
話がそれましたが、自営業の方や経営者の方は、まさにこれに当たります。一生、ゴルフをしているようなものです。広くて優しいコースを回っているのか狭くて池やバンカーばかりの難しいコースを回っているのかの差はありますが。
会社にお勤めの方だって同じです。会社に守られているように思うこともできますが、下手をすれば解雇されることもあれば、倒産してしまうことだってあります。部下に放ったたった一言が「パワハラ」だと訴えられ競技失格になってしまうことだって・・・。
さっそくゴルフ例えが出てしまいましたが、そういうことです。結局はみんな一人で責任を追いながら生きているのです。これが第一のゴルフと人生の共通点です。
障壁が多いから
ゴルフは言うならば、障壁との戦いです。
バンカーや池、木や長く伸びた芝、風や雨、傾斜やドッグレッグや小さいグリーン、虫や暑さや寒さや、スイングの悪さや腰痛や・・・。
障壁だらけなのがゴルフです。
これらの障壁を乗り越え、または乗り越えられなかった時のリカバリーがゴルフのスコアに大きく関わってきます。
ゴルフは何打打ってもかまわないスポーツです。しかし、いくら目の前に池があるからといって打たないという選択はできないスポーツです。どんなに怖くても打たなければゲームが進行しないのです。
怖くても前に進む勇気が必要になるのです。
また、それらの障壁にぶつかった時のプレーも人生によく置き換えられます。
OBしてしまったからといって急激に機嫌をそこね、物に当たったり暴言を吐いたり、残り10ホールもあるのに取り戻そうと努力すらしないプレーをしてしまうような人もいれば、「さぁ、次は頑張るぞ!」とすぐに立ち直る人もいます。
これもいい人生を送る上でとても重要な要素ですね。障壁にぶつかった時にいかに冷静に判断し、正しい行動を取り、落ち込んだ気持ちをプラス思考に転換していく。人生も障壁だらけですからね。
ライバルでもあり仲間でもある同伴者の存在
ゴルフには面白いルールがあります。
「同伴競技者にアドバイスをしてもいけないし、求めてもいけない。」
もちろん、友達同士でプレーする場合でお互いにプレーに支障がなければ問題ありませんが、公式の試合などではアドバイスはNGなのです。ルール違反があった場合、双方に2打罰が課せられます。
このルールで言うアドバイスというのは「スイング(ストローク)の方法」「クラブの選択」「プレー上の決断」です。池までの距離や旗の位置など周知の事実であれば問題ありません。
「今、何番で打ったの?」「えっと、9番アイアン。」「ありがとう。じゃ、俺は8番かな。」
これで、お互い2打罰です。
その他に「頭をあげるのが早すぎるよ!」とか「ちょっとフェースが開いてるね。」などと、良かれと思って言うアドバイスもルール違反になります。どうしても言ってあげたかったら試合が終わった後にこっそり言ってあげるしかありません。
また、ルールではありませんがエチケットとしてこんなものがあります。
「他のプレーヤーがプレーを始めようとしているときに、プレーヤーはそのプレーヤーの球の近くや真後ろ、
あるいはホールの真後ろに立ったりしてはならない。」
「パッティンググリーン上では、プレーヤーは他のプレーヤーのパットの線上に立ったりしてはならない。
また、他のプレーヤーがストロークをしているときに、そのプレーヤーのパットの線上に影を落としたりしてはならない。」
つまり、同伴競技者に迷惑になるようなことはしてはいけないということです。その競技者が次のショットに集中できる環境を作ってあげなくてはならないというマナーです。
自分以外のプレーヤーにも最善の尽くしてもらい、自分も最善を尽くし競うゲームがゴルフなのです。
相手を惑わすようなことや心を乱すようなことをせず、正々堂々と闘う姿勢が問われるのはゴルフも人生も同じです。
自分でスコアをつける
ゴルフは競技以外では、基本的にスコアは自己申告です。スコアカードも自分で記入します。
ですから、本当はダブルボギーなのに同伴者に「ボギーです」と伝え、同伴者が気がつかなかったらそのままボギーで済まされてしまいます。
ゴルフをする者は紳士であること。
というのが大前提にあるので、自己申告制なのです。
ところが、たまにこういう人を見かけます。
OB杭の外に出てしまっているのに、「ここはなんとか打てるから打つね」とか、誰も見ていないだろうと判断してポケットからボールを取り出しあたかもOBになっていなかったかのように打ってしまう人とか・・。
私もゴルファーですから、気持ちは重々分かります。ですが、そういうところで他人から人間性を判断されるというのを忘れてはいけません。
そのちょっとした出来心のプレー1つで、その後のプレーでいくらアンダーパーを出そうとも「あいつはずるい奴」というレッテルはそうそう剥がれません。
もし、取引先の方にそう思われてしまったら最悪です。「あの会社は、いざとなったら逃げ出すぞ!信用できん!」なんてことも現実にあるのです。まさに「悪事千里を走る」です。
そんなゴルフの1打2打で人生を狂わすのではなく、爽やかに「OBだったので、打ち直します!」と明るく振舞うことができれば、大きな信用につながるのではないでしょうか。
ゴールのない難しいスポーツだから
どんなスポーツや趣味でも、突き詰めれば完璧なゴールなど存在しないことに気が付くはずです。もちろんゴルフも同じです。
しかし、ゴルフはそのゴールまでの果てしなき道のりを身近に感じられるスポーツだから面白いのです。
野球やサッカーをやられる方も、一流選手を目指すなら並々ならぬ努力を覚悟し、見えそうで見えないゴールを目指して日々精進していることでしょう。しかし、どうしても人数が必要なスポーツですし、年齢を重ねるごとに活躍の場は狭くなっていくジャンルのスポーツです。
ですが、ゴルフは一人でいつでもできますし、年齢を重ねたとしてもレギュラーツアーに参戦することはできなくても、自分の努力とその成果を確認することはできます。
「今日のスコアは100だったけど、もう少しアプローチを練習すれば95くらいで回れるぞ!」
このような意気込みで鍛錬を身近にでき、その成果を確認できるスポーツなのです。
これも、ビジネスで応用できるはずです。練習すれば上達するという成功体験をビジネスに活かせばいいだけです。
情熱と冷静の間
最終ホール。500ヤード、パー5のセカンド地点。グリーンに乗せるには手前の池を超え、230ヤードをキャリーで飛ばさなくてはいけない。しかも、グリーン両サイドにはアゴの高いバンカーが配置されている。
この時の状況は、バーディーが取れれば念願の100切りの99。パーだとちょうど100です。イーグルなら98で回れます。池に入ってしまえば、ボギー、ダブルやトリプルもあり得ます。
もし、あなたがドライバーで270ヤードをキャリーさせられる程度の選手だったらどうしますか?ちなみに3wで真芯を捉えると240ヤードをキャリーで飛ばすことができます。
自分の実力ギリギリのシュチュエーションで決断が迫られる状況です。
答えに正解はありません。チャレンジすることに意味を見出すこともできますし、冷静に刻むことに意味を見出すこともできます。
ですが、ここで大事なのはその選択をしてどのようなことを学べるかです。
無謀なチャレンジばかりで人より目立つ事に執着して失敗していないか、冷静になりすぎて自分の人生をつまらないものにしていないか。または、自分の実力を認め別のルートを見つけるのか、悔しいと感じ腕に磨きをかけるのか。
最後にカップへボールを沈めるというゴールには様々なルートや方法があります。自分自身が最適だと思う方法を、時に情熱的に、時に冷静に判断できるようになるとゴルフも人生もうまくいくのではないでしょうか。
まとめ
ゴルフ好きな私が書いたコラムですから、どうしてもゴルフ贔屓(ひいき)な記事になってしまいました。他のスポーツも同じく没頭する事で多くの学びがあるのは言うまでもありません。
ただ、ゴルフは全てが自己責任でなおかつ対戦相手の邪魔をしてはいけないというルールやエチケットで成り立っているスポーツです。一人の人間の生き方を測るには分かりやすいスポーツであることは確かです。
単純にスコアを競うだけでなく、同伴者やゴルフコースのスタッフにどのように映っているのかもゴルフというスポーツに含まれています。ゴルフをする者は紳士であるという意識を持ってプレーすることで人生にも良い影響を与えることでしょう。